超硬ドリルの説明と超硬ドリルメーカー一覧
超硬ドリルとは(メリット・デメリット、他の工具材料との違い、製造メーカー)
切削工具として使われるドリルですが、大きくはハイスドリルと超硬ドリルの2つに分類されます。
もちろんドリルだけでなく、リーマ、エンドミル、バイト、カッターなど様々な工具がありますが、今回は超硬ドリルについてご紹介します。
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超硬(超硬合金)とは
超硬合金は、超(ちょう)硬(かた)いと書きます。それぐらい硬いということですが、地上で一番硬い素材と言われるダイヤモンドの次に硬い素材だと言われています。超硬合金はタングステンと炭化タングステンに、結合材としてコバルト、ニッケル、またその用途に応じてチタン、タンタルなどを混合し、1450℃から1500℃の高温でプレスで圧力をかけながら焼結することでできあがります。人工的に作られた合金です。
材料の硬さを示す曲げ難さ、曲げ易さを表す指標にヤング率がありますが、剛性の高い材料はヤング率が高くなります。アルミのヤング率は70,鉄(鋼)のヤング率は 200-215ですが、超硬合金のヤング率は450-650と、非常に高いことがわかります。その硬さを利用して、ドリルなどの切削工具のほか、ピンゲージ、アルミ缶などの金型、エンジン部品など様々な用途に使われています。また比重が高い(重い)素材でもあり、最近は環境に悪いと言われる鉛の代わりに釣具の重りとしても利用されています。
超硬ドリルとは
超硬合金で作られたドリルです。ドリルだけでなく、リーマ、エンドミル、バイト、カッターなど様々な工具があります。母材となる円筒状に焼結された超硬素材を切削・研磨することでドリルが作られます。
超硬ドリルとハイスドリルの違い
ハイスはハイスピードスチールの略称で、HSSとも書きます。ハイスとは高速度鋼(高速度工具鋼)のことで、鋼の中で最も硬い材料です。ハイス鋼と呼ばれます。より高速で切削加工ができる工具の素材という意味ですね。
硬い素材なのでドリルなどの切削加工として使われますが、超硬はハイスに比べても圧倒的に硬い素材で、ドリルなどに超硬が使われることが多くなってきています。ただし値段も超硬のほうが高く利用用途によって使い分けが必要です。
超硬ドリルのメリット
高温でもドリルの硬度が低下しにくい
高温環境下でもドリルの硬度が低下しにくく、高速な切削加工が可能です。高速で加工できるということは加工効率が上がり、短時間に多くの加工ができるということになります。
耐摩耗性が高く、工具寿命が長い
長期間使用しても摩耗しにくいため、工具寿命が長くなります。寿命が2倍になれば工具の値段が2倍だったとしても同じ費用で使えるということになりますがそれだけでなく、寿命が長くなると工具交換をする回数が減り、ドリルの交換のために機械を止めたり交換の手間をかける必要がありません。
圧力に強く、変形しにくい
圧力に強く、傷がつきにくくて変形しにくい素材です。ドリルで穴を開るときに変形しにくいので、穴をまっすぐに開けることができます。
溶着が起こりにくい
高速で切削加工を行うとワーク(被加工物)を削ったときに発生した切り屑が排出途中にドリルに付着して固まってしまうことがあります(溶着)。すると当然加工精度が落ちる原因にもなりますが、超硬ドリルは溶着が起こりにくい素材で、溶着が起こりにくいのが特徴です。
超硬ドリルのデメリット
靭性が低い
いわゆる粘り気があまりないため、衝撃がかかると折れたり欠けたりすることがあります。
コストが高い
タングステンという希少金属から作られているため、ハイスに比べて高価となります。
超硬ドリルメーカー一覧
株式会社ソリッドツール
超硬ドリル一覧
超硬ドリル、超硬リーマ、超硬エンドミル、超硬バニシングドリル、超硬バニシングリーマなどの超硬工具専門メーカー。【大阪府八尾市】
オーエスジー株式会社
超硬ドリル一覧
タップ、ドリル、エンドミル、転造工具など最先端技術を使った工具を生産する総合切削工具メーカー。【愛知県豊川市】
マコトロイ工業株式会社
超硬ドリル一覧
超硬合金素材から超硬完成工具までの一貫メーカー。素材部門では切削用から耐摩,耐衝撃用まで30種のグレードを生産。完成工具はドリル、リーマの穴あけ工具を主体として切削工具,各種冶工具類を幅広く生産。【大阪府東大阪市】