ギ酸還元リフロー

ギ酸還元リフローとは

ギ酸還元リフローギ酸還元リフローとは、電子機器の製造プロセスで使用されるギ酸還元を利用したリフローはんだ付け技術のことです。

「ギ酸還元」とは、
比較的新しい酸化膜除去の方法で、ギ酸(formic acid)を用いて酸化物質を還元する化学反応のことを指します。これまで酸化膜除去には主にフラックスを使っていましたが、フラックスにはデメリットがありました。はんだづけを行う際にギ酸還元を行うことで、濡れ性の向上やボイドレスなどの効果があります。

フラックスのデメリット

はんだづけの補助剤として大変便利なフラックス。しかしフラックスにはデメリットも存在し、それが問題視されるケースが増えてきました。ここでは、フラックスがなぜデメリットになるのかについて解説します。

1)ボイドの原因になる

ボイドには、ガスの気泡によるものだけではなく、気化しきらなかったフラックスが接合終了後のはんだ内に残渣したものがあります。特に部品と基板間にすき間が少ない場合などはフラックス残渣が部品下に留まりやすく、大きなボイドを形成しやすくなります。

こうしたボイドは、以下のような問題を引き起こします。

  • 導通性の低下ー電気抵抗が高まり発熱などの問題につながる
  • 接合強度の劣化ー部品の脱落やクラック発生の原因になる可能性につながる
  • 熱伝導阻害ー特にヒートシンクの接合で設計どおりの放熱効果が得られなくなる

そのため、電流電圧の負荷が高い箇所の接合や、振動の負荷がかかる箇所ではより問題になりやすくなります。

2)フラックス残渣による故障のリスクを引き起こす

フラックスは金属を腐食させる働きをもち、その作用で酸化膜を除去する薬品です。そのため、基板上にフラックス残渣があると、その腐食作用が残り続けてしまい、経年してから回路ショートや接続不良などの故障のリスクとなります。通常はフラックス洗浄を行いますが、目に見えない箇所などまでフラックス残渣が無くなったと言い切ることが難しいため、特に故障が人命に関わる場合や修理のハードルが高い場合では、わずかな残渣の可能性が問題になりやすくなります。

3)フラックス洗浄が必要

フラックスを使用した場合、(2)で触れた通り実装後にフラックス洗浄を行うことが一般的です。そのため、少しでも生産効率を高めたい現場では、工程の増加や洗浄機のコスト、設置スペースはもちろん、廃液処理や液交換作業なども考慮したランニングコストも考慮する必要があります。